認知バイアスという言葉は、どこか心理学の教科書に出てくる堅苦しい概念のように見えるけれど、実際はもっと身近で、もっと厄介で、そしてもっと面白い。なぜなら、認知バイアスは“人間の脳が標準装備しているクセ”であり、私たちは気づかないうちに毎日これに振り回されているからだ。しかも、このクセは賢さとは無関係で、東大生でもノーベル賞受賞者でも、同じように引っかかる。むしろ賢い人ほど、自分の判断を疑わないぶん深くハマることすらある。
認知バイアスの面白さは、「自分の脳が自分をだましている」という事実に気づいた瞬間、世界の見え方がガラッと変わるところにある。たとえば、あなたが「最近の若者は〜」と思ったとき、それは本当に事実なのか、それともたまたま目にした数人の行動を“全体”に拡大してしまう代表性バイアスなのか。あるいは、ネットで見た情報を「なんとなく正しそう」と感じたとき、それは内容ではなく“自分の信じたい方向に合っているから”信じてしまう確証バイアスなのか。こうした気づきは、ちょっとしたスリルすらある。

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